アメリカMBAは「超難関校」だけではない
前回の記事では、Harvard Business School、Stanford Graduate School of Business、Wharton、MIT Sloanなど、世界的に有名なアメリカのビジネススクールを紹介しました。
しかし、「MBA留学には興味があるけれど、トップスクールは自分には難しそう」「GMATやGREの勉強に何か月もかけるのは大変」「できれば学費を抑えたい」「仕事を続けながらMBAを取得したい」という人も多いのではないでしょうか。
実はアメリカには、トップランキング校以外にも数多くのMBAプログラムがあります。
中には、GMATやGREの提出を求めないプログラム、職務経験を必須としていないプログラム、オンラインだけで修了できるプログラムもあります。
AACSBの2026年のデータによると、MBAプログラムではオンライン形式を採用するビジネススクールも一定数存在しており、MBAの学び方そのものが多様化しています。
AACSBのデータでは、一般MBAをオンラインで提供する学校も確認できます。
そこで今回は、「入学しやすさ」を単純なランキングではなく、GMATの有無、職務経験、GPA、オンライン対応、費用、留学生としての学びやすさという視点から、日本人が検討しやすいMBAを紹介します。
「入りやすいMBA」を選ぶときに注意したいこと
まず理解しておきたいのは、「GMAT不要=簡単に合格できる」という意味ではないことです。
近年はGMATやGREを必須としないMBAが増えていますが、その代わりに大学時代の成績、職務経験、英文履歴書、エッセイ、推薦状、英語力などを評価する学校があります。
例えばArizona State UniversityのW. P. Carey School of Businessでは、オンラインMBAへの出願にGMATなどの標準テストを要求していませんが、累積GPAについて3.00以上という条件があります。
また、英語を母語としない出願者には英語力の証明が必要です。
つまり、試験が一つ減ったとしても、それだけで合格しやすくなるとは限りません。
「自分の強みをどこで評価してもらえるか」という視点で学校を選ぶことが重要です。
日本人にとって「狙いやすいMBA」の条件とは?
📌GMAT・GREが不要または任意
日本人にとって大きなハードルになりやすいのがGMATやGREです。
英語力だけでなく数学や論理的思考力も問われるため、仕事をしながら準備するのは簡単ではありません。
そこで、GMATやGREを必須としていないMBAを選ぶと、出願準備の負担を大幅に減らせる可能性があります。
📌職務経験が必須ではない
MBAというと「数年間の会社員経験が必要」というイメージがあります。
しかし、学校によっては職務経験を必須としていないプログラムもあります。
例えばBowling Green State UniversityのオンラインMBAでは、職務経験は必須ではなく、2年程度の経験が推奨されています。GMATも不要とされています。
📌オンラインで取得できる
日本からアメリカのMBAを目指すなら、オンラインMBAは非常に現実的な選択肢です。
アメリカへ引っ越す必要がないため、仕事を続けながら学べる可能性があります。
また、渡航費、住居費、現地での生活費を抑えられるケースもあります。
ただし、オンラインMBAは通常、アメリカに留学して学生ビザで生活するプログラムとは異なります。
例えばUniversity at BuffaloのOnline MBAはF-1学生ビザを発行しないと明記されています。
「アメリカの大学のMBAを取得したい」のか、「アメリカへ実際に留学してMBAを学びたい」のかを最初に区別しておきましょう。
日本人が検討しやすいアメリカMBA8選
🖊️1.Arizona State University(W. P. Carey School of Business)
最初に注目したいのがArizona State UniversityのW. P. Carey School of Businessです。
オンラインMBAはAACSB認定を受けており、GMATやその他の標準テストを必要としていません。
51単位、18クラスで構成され、AIを含む複数の専門分野から選択できる点も魅力です。
また、オンラインでありながら、卒業証書には「online」と記載されないと大学側が案内しています。
日本から働きながらアメリカのMBAを取得したい人にとって、まず候補に入れたいプログラムでしょう。
こんな人に:GMATを避けたい人、オンラインで学びたい人、AIやデジタル分野にも関心がある人
🖊️2.University at Buffalo Online MBA
University at BuffaloのOnline MBAも、比較的検討しやすいプログラムです。
GMAT・GREは不要で、学士号を持っていることが基本条件。
職務経験については幅広く考慮され、インターンシップや学士号取得前後のフルタイム経験も対象となります。
一般的な受講生は入学時点で2~3年程度の職務経験を持つとされています。
48単位のプログラムで、ニューヨーク州外の学生の推定総授業料は36,576ドルとされています。
一方で、オンラインMBAではF-1学生ビザが発行されないため、「アメリカで生活しながら学ぶMBA」を希望する人には別の選択肢が必要です。
こんな人に:比較的リーズナブルなオンラインMBAを探している人、仕事と学業を両立したい人
🖊️3.Bowling Green State University
Bowling Green State University(BGSU)のOnline MBAは、入学条件の分かりやすさが魅力です。
学士号、GPA2.75以上、履歴書、3名のProfessional Referenceなどが基本的な条件となっており、GMATは不要。
さらに職務経験も必須ではなく、2年程度が推奨されています。
ビジネス系の学士号を持っていない人も、必要に応じて基礎科目を履修することで対応できる仕組みになっています。
ビジネスとは異なる分野を大学で専攻した人にとっても検討しやすいでしょう。
こんな人に:MBA未経験者、ビジネス以外を専攻した人、GMATを受験したくない人
🖊️4.Youngstown State University
Youngstown State University(YSU)もオンラインMBAを提供しています。
一般MBAではGMATが不要とされており、大学時代のGPAとフルタイムの職務経験などを基準として審査する仕組みです。
特に、「GMATのスコアを提出する代わりに、自分の大学時代の成績や仕事の経験をアピールしたい」という人にとっては検討する価値があります。
ただし、入学条件や国際学生向けの書類については年度によって変更される可能性があるため、日本から出願する場合は必ず最新条件を確認しましょう。
こんな人に:GMATなしで出願したい人、オンラインでMBAを学びたい社会人
🖊️5.University of Texas at San Antonio
University of Texas at San Antonio(UTSA)にもOnline MBAがあります。
基本的なGPAの目安は3.0で、ビジネス以外の分野を学んだ人も出願が推奨されています。
国際学生にはTOEFL、IELTS、Duolingoなどの英語力基準が設定されています。
ここで注目したいのが、GPAが3.0を下回る場合でも、条件によっては入学を検討してもらえる可能性があることです。
もちろん自動的に合格できるという意味ではありませんが、「GPAが少し足りないからMBAは無理」と最初から諦める必要はないでしょう。
こんな人に:大学時代の専攻がビジネスではない人、英語力を証明して海外MBAに挑戦したい人
🖊️6.Azusa Pacific University
カリフォルニア州にあるAzusa Pacific University(APU)も、日本人が候補として調べやすいMBAプログラムの一つです。
MBAではGMAT・GREを要求していません。
また、GPAが3.0未満の場合には、条件付き入学として基礎科目の履修を求められる可能性があります。
海外の大学で取得した学位・成績証明書については、外国学歴の評価を求められる場合があります。
日本の大学を卒業した人は、英文書類や学歴評価について早めに確認しておくと安心です。
こんな人に:GMATなしでカリフォルニアの大学のMBAを検討したい人
🖊️7.Minnesota Carlson School of Management
「難関校は避けたいけれど、ある程度評価の高いビジネススクールにも挑戦したい」という人には、University of MinnesotaのCarlson School of Managementも候補になります。
Full-Time MBAは2年間のプログラムで、2026~2027年度の非居住者・国際学生向け授業料は年間64,460ドルです。
また、資格を満たす出願者についてGMATが任意となる場合があります。
今回紹介する中では「完全に入学難易度を下げたMBA」というより、トップ数校だけに絞らず、GMAT以外のプロフィールも含めて幅広く検討したい人向けの候補と考えるとよいでしょう。
こんな人に:実際にアメリカへ留学したい人、オンラインだけでなくキャンパスMBAも検討したい人
🖊️8.Florida Gulf Coast University
Florida Gulf Coast University(FGCU)にもAACSB認定のOnline MBAがあります。
基本条件として学士号とGPA3.0などが設定され、国際学生にはTOEFLのスコア基準も示されています。
このようなプログラムは、「超難関MBAの合格を目指す」というより、アメリカの大学院で経営学を体系的に学び、MBAという学位をキャリアに活用したい人に向いています。
こんな人に:オンラインMBAを探している人、学費と入学条件のバランスを重視したい人
8校を比較するとこんなイメージ
今回紹介した学校をざっくり分類すると、次のように考えると分かりやすいでしょう。
「まずMBAを取得したい」なら、BGSU、YSU、APUなどを調べてみる。
「仕事を続けながらMBAを取りたい」なら、ASU、Buffalo、UTSAなどのオンラインMBAを検討する。
「アメリカに実際に留学したい」なら、Minnesota Carlsonなどのキャンパス型MBAも候補に入れる。
「GMATをできれば避けたい」なら、ASU、Buffalo、BGSU、APUなど、GMAT不要と明記されているプログラムから探すと効率的です。
ただし、各プログラムの入学条件は異なります。
また、「オンラインで学べるMBA」と「学生ビザでアメリカに滞在しながら学ぶMBA」は別物です。
この違いは、留学を考える日本人にとって特に重要です。

日本人がMBA選びで「ランキング」以外に見るべきこと
🎓日本から通えるか、それとも現地留学なのか
最初に決めたいのはここです。
「アメリカの大学のMBAを取得すること」が目的ならオンラインでも実現できます。
一方、「アメリカで生活し、英語環境の中で学び、現地の学生や企業と交流したい」という目的なら、キャンパス型MBAを選ぶ必要があります。
🎓卒業後に何をしたいのか
MBAは単なる英語学習ではありません。
経営、マーケティング、ファイナンス、データ分析、リーダーシップなどを学ぶ大学院です。
「海外で働きたい」「日本企業の海外部門で働きたい」「外資系企業に転職したい」「起業したい」「現在の仕事でマネジメント能力を高めたい」など、目的によって適したMBAは変わります。
🎓学費だけでなく総額を見る
オンラインMBAなら授業料が主な費用になりますが、現地留学の場合は授業料だけではありません。
住居費、食費、健康保険、教材費、交通費、航空券、ビザ関連費用などを含めて考える必要があります。
一見すると授業料が安い学校でも、生活費の高い都市にある場合は、2年間の総額では大きな差がなくなることもあります。
「英語が苦手だからMBAは無理」とは限らない
日本人にとってMBA留学の最大の壁の一つは英語でしょう。
しかし、英語がネイティブである必要はありません。
重要なのは、授業を理解し、ケースを読み、レポートを書き、グループディスカッションに参加できる英語力を身につけることです。
特にオンラインMBAの場合、仕事をしながら英語のビジネス資料を読む練習ができます。
MBAそのものを英語学習のゴールに設定するのも一つの方法です。
もちろん、英語力の条件は学校によって異なります。
UTSAのOnline MBAでは、国際学生向けにTOEFL、IELTS、Duolingoなどの基準が掲載されています。
40代・50代からMBAを目指すのは遅い?
「MBAは20代や30代の人が行くもの」というイメージを持っている人もいるかもしれません。
しかし、MBAで学ぶ内容は、社会人経験があるからこそ理解しやすい部分もあります。
営業、事務、IT、金融、人事、マーケティング、管理職など、これまでの経験を経営学と結びつけることで、新しい視点が得られる可能性があります。
特にオンラインMBAなら、仕事を完全に辞めて留学する必要がないプログラムもあります。
「今さらMBA」と考えるのではなく、「これまでの経験をMBAで体系化する」と考えてみるのもよいでしょう。
日本人におすすめしたいMBA探しの順番
いきなり「アメリカのMBAランキング」を検索するより、次の順番で考えると効率的です。
まず、①オンラインか現地留学かを決めます。
次に、②予算を決めます。
授業料だけではなく、2年間に必要な総額を考えましょう。
そして、③GMAT・GREを受験するかを決めます。
試験を避けたいなら、最初から「No GMAT」「GMAT not required」のプログラムを探す方法があります。
さらに、④自分のGPA・職務経験・英語力を確認します。
最後に、⑤卒業後のキャリアから学校を絞ります。
この順番なら、「ランキングが高いから」という理由だけで自分に合わないMBAを選んでしまう可能性を減らせます。
アメリカMBAは「トップ校に合格すること」だけがゴールではない
アメリカのMBAというと、Harvard、Stanford、Whartonなどの名前が最初に出てきます。
しかし、MBAの価値はランキングだけで決まるものではありません。
GMATなしで出願できる学校、オンラインで取得できる学校、職務経験が必須ではない学校、比較的リーズナブルな学費で学べる学校など、選択肢はかなり広がっています。
特に日本からMBAを目指す場合は、「どの学校が一番有名か」ではなく、自分の現在の学歴・英語力・職務経験・予算・年齢・将来の目標に合っているかを基準にすることが大切です。
そして、「MBA留学」と「オンラインMBA」も分けて考えましょう。
アメリカへ実際に渡航して学生生活を送りたい人と、日本に住みながらアメリカの大学のMBAを取得したい人では、最適なプログラムが大きく異なります。
まずは今回紹介した8校を入口にして、「GMAT不要」「オンライン」「国際学生」「学費」「英語力」「職務経験」という条件で比較してみてください。
「自分には無理そう」と思っていたアメリカMBAも、条件を一つずつ分解してみると、意外と現実的な選択肢が見つかるかもしれません。🎓🌎✨

なお、MBAの入学条件、授業料、出願締切、英語試験、オンライン受講条件などは変更される可能性があります。
本記事は2026年時点で各大学が公開している情報をもとにしていますが、実際に出願する際には必ず各大学の公式サイトで最新情報を確認してください。

